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永田カビ『一人交換日記』が赤裸々だが前向きではらはらする。

永田カビさんは『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』のころからとっても気になっていて、『一人交換日記』もピクシブでリアルタイムに読んでいた。

今回はがっつりネタバレしていますので注意。

 

大雑把なあらすじ

彼女はうつや摂食障害などを抱えるいわゆるメンヘラと呼ばれるような人だ。そんな彼女が「自分は何を求めているのか?」「どのように生きていきたいのか?」をもがきつつ模索してゆくのが『一人交換日記』だ。

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『一人交換日記』がすごい理由

『母がしんどい』などの毒親から脱却する話、『ツレがうつになりまして』などのうつの話はたくさんある。だけどもし私がメンヘラ系のマンガを一冊だけ進めるなら『一人交換日記』を推す。

 

ダメな人というのはそこかしこにいる。だけどその中で永田カビが特筆すべき点は、絶対に自分を偽らないところであると思う。

 

永田カビは『普通』のルートを選ばない。あるいは選べない。

 

彼女は「愛し愛されたい」と思ってレズビアン風俗に行く。

だって普通さ、そこは男性と恋愛したいし結婚や子育てしたい、って思うじゃん。マジョリティなら。だけど彼女は世間体やら経済的保障やらといった雑味を一切排除し「愛し愛されたい」という欲望のみを見据える。

 

あー、もう!

そういうのはテキトーにごまかして、欲望と愛情を混同したまま生きてけば楽なんだよ!

 

ちなみに、「欲望と愛情を混同したまま生きていく」という名言が読めるのはこちらのシリーズ。

 

結婚して出産でもしてフツーに主婦でもやれば、そこそこのやりがいや経済的安定でもって寂しさをごまかすことができる。だけど彼女はそれを求めない。

『一人交換日記』で永田カビは親元を離れ自立しようとする。そして親を見捨てる罪悪感に葛藤する様子が克明に描かれている。

 

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この一コマの重み、分かる人には分かると思う。

加藤諦三共依存について書き始めたのは親元を離れて十年近く経ってからだった。毒親マンガの走り『母がしんどい』だって親元を離れて結婚して子育てした後に描かれた。それくらい、毒親を自覚することは難しい。

だが彼女はそれを毒親と癒着している真っ只中で自覚し、渦中にいながら変化のプロセスまで記述してのけた。

 

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ああもう!そういう正しいことに!気づいちゃうからしんどくなるんだよーーー!

テキトーにごまかして依存して生きていけばラクだし、せめて弱ってるときくらいごまかすってことを覚えようよ!

だけど永田カビは孤独も欺瞞もごまかさない。ごまかせない。

 

自分も他人も甘やかさず、他人を許し、自分の行動に責任を持ち生きていく、なんて表現すればカッコイイかもしれないけど、それはとてもしんどくて大概の人は挫折する。挫折するからこそフツーの幸せを手に入れることができるわけで、ごまかしながら生きていくのは悪い人生じゃない。

欲望と愛情を混同して生きている汚れた大人である私は、どんなに傷ついても冷徹な目線を手放せない永田カビの生き様に、心からの敬意を表したい。

 

 

 

ここからは超ネタバレ。

『一人交換日記』の終盤で永田カビに彼女ができる。

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やったー!ついに愛し愛されることができたね!おめでとう!!

なのに。

なのに永田カビはそこで終わない。

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そこ、気づいちゃあかんとこ。

 

人間なんて自分のことしか考えてないのがデフォで、誰かを好きになるのだって多かれ少なかれ見返りがあるからだし、それで別にいいじゃん。そこをさぁ、どうして気づいちゃうかな。この人ドロドロした地球生活に向いてないよ。神様の国とかの人なんだと思う。

 

『一人交換日記』は12月12日に紙書籍で発売される予定で、そちらには恋愛の顛末も載るらしい。どうなるのかひやひやである。幸せになってほしいなぁ。

 

 

 

あと、寂しさが極限まで達すると骨の髄まで寒い、っていうのがすごくわかる。ほんと理屈じゃなく歯がカチカチ言うくらい寒くなるよね。あれどういう仕組みなんかな。

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