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あきらめないマンガ家 松尾しより の軌跡を振り返る

松尾しより氏は、あきらめない少女マンガ家である。

彼女の描きたいことに対する熱意は時々ちょっとズレる。「たぶんこういうことを言いたいのだろうけどその表現はアカンで・・・」と批判される。だが彼女はあきらめない。画力もありストーリーを作る力もあるので、普通に恋愛の少女マンガを描いていればそれなりに安定すると思われるのに、彼女は描きたいものをあきらめず学習して進化していく。

まぁ要するにハラハラどきどきして目が離せない人である。

 

松尾しよりの歩み

 私の把握しているものだけなので、欠けがあったり順番が間違っているかもしれません。

戦争について書いてみた第一弾

空と海のあいだ 上

空と海のあいだ 上

 

 私が知る中では『空と海のあいだ』が松尾しよりが戦争について扱った一番古い作品かな。

太平洋戦争の時代に信州の蔵元に嫁いだ美津子の話です。

歴史についてよく知らない少女にとっての入門としてはいいですが、全体的に少女マンガ感あふれるラブロマンスと、ところどころ史実と食い違うご都合主義と理想主義なので歴史好きとしては少し疑問が残ります。

 まぁ少女マンガならこんなもんか、というような。

ただ少女にも受け入れやすい美しい物語として戦争の悲惨さや歴史を描いたことには価値がありそうです。それと久しぶりに一巻を読み返してみたらだいぶ絵柄が違っていて驚きました。巻を重ねると絵柄が変わる謎現象はなぜおこるのでしょう…

 

少し戦争について調べてみた第二弾

 少女マンガとしては成功した前作ですが、歴史ものとしてはまぁまぁ、という評価だった前作を受けての第二弾。

咲けや この花 1

咲けや この花 1

 

 『咲けやこの花』ではわりと歴史をしっかり描写しています。もちろん本格的な調査なんかとは違う部分もあるのでしょうがマンガとして読む分にはそんなに気にならない程度でした。母子三代の生き方を通じて戦争を描くというのも感情移入しやすいですね。自分のお母さんやおばあさんといった身近な人の体験を描くことで他人事ではないリアルさを感じられました。

なんですが、このお話、歴史を前面に押し出しすぎたためか少女マンガ成分がちょっと足りない…

主人公の女性はアラサーまで彼氏ができたことがないキャリアウーマンなのに結婚して男に養われることが前提だったり。昔ならともかく現代でそれはちょっと現実味が無いですね。もう少し人生設計をしっかりしたほうがいいと思う。

それからモブがすごい意地悪。主人公たちはとてもいい人たちで大変な状況や悲しみの中健気に前向きに生きているのですが、周りの人達がすごく意地悪で読んでてツラい。

 

時代を変えてみた第三弾

これまで太平洋戦争や第二次世界大戦をテーマに書かれていましたが、次は幕末です。

会津藩の女性、新島八重さんのお話です。 

 

清らにたかく 1

清らにたかく 1

 

 こちらはとても楽しんで読めました。

女相撲取りなどと呼ばれていた八重さんが会津と日本のために戦う話。やはり歴史的にみると突っ込みどころはあるのですが幕末というあまりリアルに感じられない昔の時代なのでまぁいいか、と読めます。トンデモ藩主水戸黄門にツッコミを入れないような心理と同じですね。

がんばれ八重さん。すごいぞ八重さん。

 

ですがやはり松尾しより節は健在で、怒りに任せて人を殺してしまってその罪を一生背負っていくという戦争の業についてなど端々に考えさせられるテーマが伺えます。そういった敬遠されがちなテーマを少女マンガという形に昇華できるのはすごいことだと思います。

 

もいちどチャレンジ第四弾

 

君がくれた太陽 上巻

君がくれた太陽 上巻

 

 今度は原爆と広島のお話でした。

家族の絆がテーマかなと思います。戦争というとても重いテーマを通じて普遍的な人間愛を描いています。極限状態でお互いを思いあう選択をするのが胸をしめつけられます。

 

 

まとめ

松尾しよりさんは少女マンガ成分と史実成分と戦争成分という相容れないもののバランスを追求し続けているのだと思います。

松尾しよりさんの今後のご活躍を期待しています。